東京・神奈川で設計、デザインを行うマスプラスデザイン

046-244-5821

東京・神奈川で住宅・賃貸・店舗の設計、デザインを行う設計事務所です。

MENU

MENU

Blog

土地を買う前に設計者へ相談すべき理由|ボリュームチェックで「思ったより建たない土地」を見抜く

2026/11/03

土地を買う前に設計者へ相談すべき理由 アイキャッチ

 

結論からお伝えします。都内で賃貸住宅や収益物件のための土地を買うなら、契約の前に設計者へ「ボリュームチェック」を依頼してください。

物件概要書の「建ぺい率60%・容積率200%」という数字は、その土地に建てられる上限の目安にすぎません。前面道路の幅、斜線制限、高度地区、日影規制、東京都や区の条例が重なると、実際に建てられる床面積や戸数は、概要書から想像するよりかなり小さくなることがあります。

土地は買ってから「思ったより建たない」とわかっても、取り返しがつきません。この記事では、モデルケースを使ってその理由を説明し、ボリュームチェックで何を確認するのか、どう依頼すればよいのかをまとめます。

 

モデルケース:容積率200%の土地でも、200%は使えない

次のような土地を例に考えます(実在の土地ではない、説明用のモデルケースです)。

概要書だけを見ると「延べ200㎡まで建てられる」と読めます。ところが、順に確認すると次のようになります。

確認すること 計算 結果
① 道路後退(セットバック) 道路中心線から2mまで後退。道路の両側が同じように後退する場合、(4.0m−3.6m)÷2=0.2m × 間口8m=1.6㎡ 敷地面積 98.4㎡
② 建築面積の上限 98.4㎡ × 60% 59.0㎡
③ 前面道路の幅による容積率 住居系の用途地域では、道路幅員(2項道路は4mとして扱う)× 0.4=160% 指定容積率200%より小さい160%が上限
④ 延べ面積の上限 98.4㎡ × 160% 157.4㎡

 

この時点で、概要書から想像した200㎡より約2割(約43㎡、25㎡の住戸1戸半以上)少ない床面積になりました。さらに実際の計画では、次の制限で建物の形と高さが削られます。

戸数は、これらで決まる「入る形」と、区が定める住戸の最低面積などから決まります。だからこそ、数字の計算だけでなく、実際に配置と断面を描いて確かめる必要があるのです。戸数が決まる仕組みは、「狭小地に投資用マンションは建つ?」で当事務所の設計事例とともに詳しく解説しています。

モデルケースの配置図と断面図(道路斜線・第2種高度地区の斜線と建物のボリューム)

※図の北側の斜線は、東京都の場合は高度地区による「高度斜線」を示しています。その他の地域では、用途地域による「北側斜線」が基準になります(自治体によっては高度地区が定められている場合もあります)。

図では、外壁を道路境界から1.0m後退させています。このように建物を道路から後退させると、道路の反対側にも同じ1.0mの「みなし後退線」をとり、そこから道路斜線を立ち上げることができます(後退距離による緩和)。ただし、外壁より道路側に高さ1.2mを超える門や塀などがあると、この緩和が受けられない場合があるため、外構の計画にも注意が必要です。

 

東京で特に注意したい「高度地区」の斜線

東京23区で土地を見るときに特に注意したいのが、高度地区の斜線(高度斜線)です。東京では、北側の隣地境界から高度斜線が設けられており、この高度斜線のために想定した建物が建たないケースは少なくありません。

理由は、高度斜線には緩和の規定がないためです。道路斜線のような後退距離による緩和や、天空率による緩和が使えず、北側の隣地境界から決まった勾配でそのままかかります。

たとえば東京の第2種高度地区では、真北方向の隣地境界からの水平距離に対して「5m+水平距離×1.25」の高さまでしか建てられず、水平距離が8mを超える部分は勾配が0.6とさらに厳しくなります。モデルケースでも、3階の北側を高度斜線にあわせて後退させています。

だからこそ、土地の方角がとても大事です。同じ広さ・同じ容積率の土地でも、道路や隣地がどの方角にあるかで高度斜線の効き方が変わり、建てられる規模が大きく変わります。

※道路幅員に掛ける係数(0.4)は、区域によって特定行政庁が別の値を定めている場合があります。角地や防火地域内の耐火建築物などでは、建ぺい率の緩和が受けられることもあります。

 

ボリュームチェックで確認すること

設計者が土地購入前に確認するのは、大きく分けて「建てられるか」「どれだけ建てられるか」「何が建てられるか」の3点です。都内では、全国共通の建築基準法に加えて、東京都と区の条例が効いてくるのが特徴です。

区分 確認する項目 土地の価値への影響
建てられるか 前面道路が建築基準法上の道路か、敷地が道路に2m以上接しているか 満たさないと、原則として建物が建てられない
建てられるか 旗竿地(路地状敷地)の路地部分の幅と長さ(東京都建築安全条例) 規模や用途、共同住宅が建てられるかが制限される
どれだけ建てられるか 用途地域、建ぺい率、容積率、前面道路の幅による容積率 延べ面積の上限が決まる
どれだけ建てられるか 道路斜線・隣地斜線・北側斜線、高度地区、日影規制 高さと形が削られ、実際に入る床面積が決まる
どれだけ建てられるか 道路後退(セットバック)、がけや高低差 使える敷地面積が減る、擁壁などの費用がかかる
何が建てられるか 防火地域・準防火地域、東京都の新たな防火規制の区域 求められる耐火性能が変わり、構造と工事費に影響する
何が建てられるか 共同住宅の窓先空地など(東京都建築安全条例) 住戸の配置と戸数に影響する
何が建てられるか 区の集合住宅に関する条例・要綱(住戸の最低面積、ファミリー住戸、駐輪場、ごみ置場など) 住戸構成と収支に影響する
何が建てられるか 地区計画、建築協定、最低敷地面積など 用途や形、敷地分割が制限されることがある
工期・費用 埋蔵文化財の包蔵地か、上下水道・ガスの引込状況 届出や調査、引込工事で工期と費用が増えることがある

 

このうち条例や地区計画は、同じ23区内でも区ごとに内容が違います。物件概要書には書かれていないことも多いため、役所での確認が欠かせません。

 

ご相談の前に、まず調べていただきたいこと

ボリュームチェックの精度は、土地の情報がどれだけそろっているかで決まります。ご相談の前に、まずは次の資料をお手元にそろえ、わかる範囲で土地の条件を調べてみてください。

そろえていただきたい資料

調べておくと相談がスムーズになること

用途地域の調べ方と考え方は、「用途地域はなぜ重要?」で詳しく解説しています。

 

ボリュームチェックの流れ

  1. ① 資料の準備と下調べ:上記の資料をそろえ、わかる範囲で土地の条件を調べます
  2. ② ご相談:資料を添えて、お問い合わせフォームからご相談ください
  3. ③ 内容の確認とお見積り:いただいた資料とご相談内容を確認し、作業にかかる期間と費用をお知らせします。ご了承いただいてから作業を始めます
  4. ④ 役所調査と検討:当事務所で用途地域や道路、条例などを確認し、配置と断面を描いて検討します
  5. ⑤ ご報告:建てられる規模と戸数の目安、注意すべき点をまとめてお伝えします
■ ご依頼の前にご了承いただきたいこと

  • 期間について:ボリュームチェックは、ご依頼をいただいた時点の当事務所の業務状況によって、ご報告までにお時間をいただく場合があります。ご希望の時期がある場合は、ご相談の際にお知らせください。
  • 費用について:敷地の形や前面道路、用途地域、条例などの建築条件によって作業量が大きく異なるため、費用はご相談内容と資料を確認したうえでお見積りします。

 

まとめ

マスプラスデザイン一級建築士事務所では、東京・神奈川の土地について、購入前のボリュームチェックから企画・設計・確認申請・工事監理までお手伝いしています。検討中の土地があれば、上記の資料をご用意のうえ、お問い合わせフォームからご相談ください。

 

■ あわせて読みたい

 

参考:建築基準法第42条第2項(道路の後退)、第43条(接道)、第52条(容積率)、第53条(建ぺい率)、第56条(斜線制限、後退距離の緩和)、第56条の2(日影規制)、建築基準法施行令第130条の12(後退距離の算定の特例)、東京都の高度地区(都市計画)、東京都建築安全条例。記事中の計算は考え方を示すためのモデルケースで、実際の計画では敷地の条件や条例により異なります。2026年11月時点の情報です。条例の内容は自治体ごとに異なりますので、計画の際は最新の情報をご確認ください。

 

#architecture #design #建築 #設計事務所 #一級建築士 #土地探し #土地購入 #ボリュームチェック #狭小地 #旗竿地 #投資用マンション #賃貸経営 #土地活用 #容積率 #建ぺい率 #斜線制限 #東京 #東京23区 #神奈川 #海老名 #マスプラスデザイン

« |

TOP