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インテリアトレンド2026|ミラノサローネと流行色から読む、内装に取り入れる素材と色

2026/09/25

「今っぽい内装にしたいけれど、流行りはすぐ古くなりそう」――リノベーションや新築の打合せで、よくいただくご相談です。インテリアの流行は毎年のように話題になりますが、住まいの内装は家具や小物と違って、簡単には変えられません。

今回は、2026年に発表された流行色や、世界最大級の家具見本市「ミラノサローネ」で見られた傾向を整理したうえで、設計事務所の立場から「どこまでトレンドを取り入れるか」を考えてみます。

 

■ この記事の要点(インテリアトレンド2026)

  • 色:パントンの今年の色は、温かみのある柔らかな白「クラウドダンサー」。ミラノサローネではブラウンやオレンジなどのアースカラーが目立ちました
  • 家具:70年代リバイバル。曲線を生かした、包み込むような柔らかい家具が増えています
  • 素材:無垢材・左官・金属など、手ざわりや「不完全さ」を楽しむ素材感
  • 空間:ホテルライクで落ち着いた、心身を整える(ウェルネス)空間づくり
  • 取り入れ方:床や壁など変えにくい部分は落ち着いた色に、流行の色は家具や小物で取り入れるのが基本です

 

2026年のトレンドを読む、3つの情報源

インテリアの流行は、色の専門機関の発表や、国際的な見本市での新作発表から読み取ることができます。今回参考にしたのは次の3つです。

 

情報源 時期 内容
パントン「カラー・オブ・ザ・イヤー2026」 2025年12月発表 「PANTONE 11-4201 Cloud Dancer(クラウドダンサー)」。騒がしい世の中に落ち着きをもたらす、ふんわりとした白
日本流行色協会(JAFCA)「2026年春夏プロダクツ&インテリアカラー」 2026年春夏 テーマは「閾値(しきいち)」。淡い色が柔らかく重なる、見えるか見えないかの繊細な色表現
ミラノサローネ(Salone del Mobile.Milano)2026 2026年4月 167か国から約31.6万人が来場。70年代の雰囲気、曲線の家具、アースカラー、素材の質感が目立った

 

3つに共通しているのは、強い主張よりも「落ち着き」「温かみ」「手ざわり」を大切にする方向に向かっていることです。ここから、住まいの内装に関係の深いキーワードを4つ取り上げます。

 

キーワード1:柔らかな白と、アースカラー

パントンが「白」を今年の色に選んだのは、この発表が始まって以来はじめてのことでした。ただし、ここでいう白は真っ白ではなく、わずかに温かみを含んだ柔らかな白です。

一方、ミラノサローネでは、ブラウン、オレンジ、くすんだグリーン、オーカー(黄土色)といったアースカラー(土や植物を思わせる色)が多く使われていました。国内のリノベーション会社の記事でも、テラコッタやオリーブグリーン、チョコレートブラウンが注目色として挙げられています。

 

2026年のインテリアカラーの方向性(イメージ)

 

内装に置き換えると、壁・天井の広い面は柔らかな白、床や造作家具、ファブリックでアースカラーを重ねるという組み立てがしやすい配色です。真っ白な壁は光を強く反射してまぶしく感じることがありますが、少し黄みやグレーを含んだ白にすると、昼の自然光でも夜の電球色の照明でも落ち着いた印象になります。

 

キーワード2:70年代リバイバルと「包み込む」家具

今年のミラノサローネで多くのメディアが指摘したのが、1970年代を思わせるデザインです。低く大きなソファ、床に沈み込むような「カンバセーションピット」風のソファ、背もたれが体を包むように曲がった椅子など、ボリュームのある柔らかな家具が数多く発表されました。あわせて、スチールパイプの椅子(チューブラーチェア)をいまの感覚で作り直したものも目立ちました。

 

カンバセーションピットとは、床を一段下げて、そのくぼみに沿ってソファを造り付けた団らんの場所のことです。1950〜70年代の住宅でよく見られた手法で、ミッドセンチュリーモダンの代表的な空間の一つでもあります。

建築として取り入れる場合、床を下げる部分は基礎や床組み、断熱の納まりに関わるため、計画の早い段階で決めておく必要があります。段差によるつまずきや、将来の暮らしやすさも考えておきたいポイントです。リノベーションで床を下げられない場合は、置き家具の低いソファや、段差の代わりにラグで居場所を区切る方法もあります。

家具そのものの選び方については、「「直せる家具」が新しい基準に|サーキュラーデザインから読む家具トレンドと、長く使える家具の選び方」で、長く使える家具の見分け方を解説しています。

 

キーワード3:手ざわりと「不完全さ」

3つ目のキーワードは素材の質感です。ミラノサローネでは、節や年月の跡が残る木のテーブル、色の付いた大理石、表情のある金属、立体的なタイルや木の壁材など、手でふれたくなる素材が多く見られました。JAFCAのテーマでも、ざらざら・ぬめりといった触覚的な変化が色の考え方に含まれています。

これは、当事務所が普段から使っている素材とも重なります。代表的な素材と、使うときの注意点を整理しておきます。

 

素材 空間に与える印象 使うときの注意点
杉板型枠コンクリート コンクリートの表面に杉板の木目が転写され、硬い素材に温かみが出る 打設後のやり直しがきかないため、板の割付けや目地の位置を図面で決めておく
無垢の木(節あり) 節や木目の揺らぎが「完璧すぎない」自然な表情をつくる 反りや隙間、傷が出ることを前提に、樹種と仕上げを選ぶ
左官仕上げ コテ跡や光の陰影で、同じ白でも柔らかい表情になる 職人の手による仕上がりの差があるため、サンプルで確認する
コールテン鋼・黒皮鉄 時間とともに色が変わり、素材の経年変化を楽しめる コールテン鋼は安定するまで錆汁が出ることがあるため、周囲の床や壁との取合いに配慮する

 

こうした素材は、年月とともに味わいが増していくものです。流行としての「質感」ブームが過ぎても古びにくいという点で、住まいの内装と相性の良いトレンドだと考えています。

 

キーワード4:ホテルライクとウェルネス

ミラノサローネでは、上質なホテルのような落ち着いた寝室・リビングの提案や、サウナやトレーニング器具を美しくデザインした展示も話題になりました。「家で整える」という考え方が、インテリアの分野にも広がっていることがわかります。

住まいで取り入れるなら、照明を天井の中央から一灯で照らすのではなく、間接照明やスタンドで低い位置に光を落とす、寝室の建具や収納の面をそろえて視界をすっきりさせる、といった工夫が効果的です。いずれも大きな費用をかけずに、ホテルのような落ち着きに近づけることができます。

 

トレンドは「変えにくさ」で取り入れ方を変える

ここまでのトレンドを、実際の住まいにどう取り入れるか。当事務所では、内装の部位を「変えにくさ」で分けて考えるようにしています。

 

変えにくさで考えるトレンドの取り入れ方

 

構造や窓の位置は、あとから変えることがほとんどできません。床・壁・天井の仕上げも、変えるには工事が必要です。一方、置き家具や照明、ファブリックは、暮らしながら入れ替えることができます。変えにくい部分ほど長く付き合える素材と色を、変えやすい部分ほど気軽にトレンドを、という順番で考えると、数年後に「流行りで選んでしまった」と感じにくくなります。

 

■ 内装にトレンドを取り入れるときのチェックポイント

  • 色は大きなサンプルで見る:小さな色見本と、壁一面に塗ったときの印象は大きく違います。できればA4サイズ以上の見本を、実際の部屋の光で確認します
  • 昼と夜の光で確かめる:同じ白やアースカラーでも、自然光と電球色の照明では見え方が変わります
  • 差し色は「面積の小さいもの」から:オレンジなどの強い色は、椅子や照明、クッションなど、あとから替えられるものに使うと失敗が少なくなります
  • 経年変化を受け入れられるか考える:無垢材や鉄、左官は、傷や色の変化も味わいになる一方、新品のままの状態は続きません
  • 床を下げる・造り付けるは早めに決める:カンバセーションピットや造作ソファは、構造・断熱・設備と関わるため、基本設計の段階で検討します

 

【2026年10月追記】2027年に向けた色の動き

2026年も後半に入り、2027年に向けた色の予測も発表され始めています。インテリアに関係の深い2つの発表を紹介します。

 

発表 時期 内容
Pantone View Home + Interiors 2027(パントンの住まい・インテリア向け色予測) 2026年3月 「騒がしい世の中に、安らぎと喜びを」がテーマ。7つのパレットのうち、静かな光と抑えた中間色の「Hush」、土の色調の「Grounded」、茶・赤・オレンジの温かな「Honest」など、落ち着きと温かみのある色が中心
WGSN・Coloro「カラー・オブ・ザ・イヤー2027」 2025年4月 「ルミナスブルー(Luminous Blue)」。神秘的で、用途を問わず使える明るい青

 

この記事で取り上げた「柔らかな白」「アースカラー」「ウェルネス」の流れは、2027年に向けても続くと読み取れます。床や壁、造作家具など変えにくい部分を落ち着いた中間色やアースカラーでまとめておけば、来年以降も古びにくい内装になります。

一方で、ルミナスブルーのような明るい青は、クッションや照明、アートなどあとから替えられるもので取り入れるのがおすすめです。パントンの「カラー・オブ・ザ・イヤー2027」は例年どおりであれば12月ごろに発表される見込みです。発表があり次第、改めてご紹介します。

参考:International Housewares Association「2027 Home Color Forecast Offers Respite and Joy in Noisy World」(2026年3月12日、The Inspired Home Show 2026 での Lee Eiseman 氏の講演)、WGSN「WGSN and Coloro reveal Colour of the Year 2027, Luminous Blue」(2025年4月29日)

 

当事務所での取り組み

当事務所では、以前の記事「リビングダイニング デザイン」シリーズでご紹介したように、スケッチアップ(CGソフト)で内装を立体化し、素材や色の組み合わせを並べて比較しながら検討しています。壁の白の色味や、床材の樹種、差し色の入れ方などを、完成前に画面上で確認できるので、「思っていたのと違う」を減らすことができます。

流行を追いかけるだけでなく、10年後も心地よいと思える内装をご提案することを大切にしています。新築・リノベーション、店舗の内装をご検討の方は、お気軽にご相談ください。

 

参考:Pantone「Pantone Color of the Year 2026: Cloud Dancer」(2025年12月4日)、一般社団法人日本流行色協会(JAFCA)「2026年春夏JAFCAプロダクツ&インテリアカラー」、Salone del Mobile.Milano 2026 に関する Wallpaper*、SURFACE、Finnish Design Shop の各記事。色見本は方向性を示すイメージで、各団体の公式色値ではありません。

 

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